まず、音圧があるっていうのが具体的にどういう状態なのかを考える
2MIXの状態にリミッターとかマキシマイザで潰すと音が大きく聞こえるわけだけど、
個人的にはアレを「音量差の少ない状態」として考えています
だからMIXの段階であらかじめそういう状態を作っていければ、
音圧と音の分離をコントロール、両立できると思っています
あとある程度経験積んだ人ならわかると思うけど、
音数は少ないほうが音圧が稼げます
音の分離を考えなくても済むからです
前者はMIXで、後者はアレンジ段階でできる事だと思います
ここで前回の↓で書いたマスキングについてちょっと考えます
http://www.politmia.net/cgi/sato3/usr/bin/perl/diary.cgi?no=552
マスキングってのはもうちょっと詳しく書くと、
同じような帯域で鳴っている音は判別しにくい、という現象です
人間の耳が大雑把に周波数分解して音を聞き分けていることに起因してるんじゃないかと思います
マルチバンドコンプなんてのはこれを応用して、
ハイおよびローの音程感のわかりづらい帯域をそれぞれで圧縮してしまう物だと思います
また、このマスキングを補間する為なのかなんなのか、
連続した音に対して近い帯域のノイズが挿入された場合に、
音が途切れずに連続している物として認識する機能が脳にはあります
↓これなんか聞いてみると面白いです
http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/a/continuityIllusion/ja/index.html
http://www.brl.ntt.co.jp/IllusionForum/a/maskingPotentialRule_frequencyRelationship/ja/index.html
こえらをふまえて、MIXについて具体的にどうするか
まずフェーダーに音を立ち上げて先にMIXのバランスをとります
もちろんこの段階で各トラックは適宜EQなりコンプなりで音を作って、
音量さえ上がれば聞ける状態にまで持っていきます
この段階でマスターフェーダーは0dBを超えないようにしてください
そしてそれらのトラックを上記の現象が発生するような組み合わせ、
つまりは、
「近い帯域の連続音(楽譜で言うところの白玉)とアタックの強い音」
でバスにまとめていきます
この時にバスのフェーダーは0dBから動かさないで、
元のバランスのままマスターフェーダーに流れるようにしてください
そしてそれぞれのバスでリミッターをかけるんですが、
できればWAVESのL1L2だとか、DAW標準でついてるような、
「オートゲインしないでスレッショルドだけ下げられるリミッター」を使います
それらでスレッショルドで潰した分だけレベルが下がるようにします
こういう時にL1L2って作りが古い分、都合がいいんだよな
それぞれのバスに刺したリミッターのスレッショルドを、
聴感上の変化を感じないギリギリまで下げていきます
できればリミッターをオン、オフして本当に違いを感じないか、
確認しながら作業するのが望ましいです
そうやって全部のリミッターの処理をし終えたら、
マスターフェーダーのメーターを確認します
ほとんど音が変わってないのに全体のレベルが下がっていれば成功です
正確には「メーターが大きく上下しない」状態です
後は2MIXにリミッターを軽くかけるだけで分離もよくて音もでかい、
いわゆるウルトラハッピーな音圧が出ると思います
なんで急にこんな事書くかって、
いまだに雑誌とかで紹介される「音圧の稼ぎかた」が、
2ちゃんの落書きレベルでしかないから
まあその方が広告収入もあるからなんだろうけどよ、
なんか腹たってな
オレも自分の知ってる範囲の知識だけで作業してるから、
まだ他にも方法はあるんじゃねえかね
あと昨日のプリキュアはここの作画というか表情が絶妙すぎた
追記
この延長で、潰したいほうを選んでサイドチェインで潰す、
なんてのもありじゃねえかね
つってもこういう作業に使えるようなVST3対応のリミッターって見たことねえけど、
たとえばベースとキックみたいなモノラルで作業するような音なら、
ステレオリミッターをうまいことつかえばできるよな